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(39) 熱と温度に関して
CarotStamp
2006年03月19日(日) 03時15分

CarotStampです。

昨年11月のスレッド「自由エネルギーの物理的意味を教えて下さい」では、大変失礼しました。
これまで物理数学の勉強をしていたのですが、それが終わって、昨日から熱・統計力学の勉強を始めました。

そこで、基本的なこと(=温度と熱に関して)が分かっていないことに気がついたので、質問させて下さい。たいへん申しわけないですが4つあります。このまま勉強を続けていれば、その内に解ることかもしれませんが、とりあえず昨日考え出してアタマが混乱してしまった内容です。

1.温度を変える原因が熱という理解をしています。
この場合、熱はエネルギーの一形態と大変わかり易いのですが、温度も巨視的に見た何か(物理量)の一形態なのでしょうか?

2.温度の違う物体Aと物体Bを接触させた場合、熱の移動が起こります。
この場合なぜ、両者の温度が等しくなった時に熱の移動は止まるのでしょうか?
両者の持つ熱量(エネルギー)が等しくなった時に、熱の移動が止まるというのならわかるのですが・・・。

3.微視的に見て、温度と何なのでしょうか?
「巨視的な温度」と「微視的な分子・原子の運動」とに対応が見られます。
温度上昇に伴い分子・原子の運動(=熱運動)は激しくなります。
絶対零度では、零点振動(不確定性原理)を除いて、熱運動はなくなります。
温度とはミクロにみて「分子・原子の運動の激しさ」=「分子・原子の運動量あるいは速度」と考えていいのですか?

4.電場と磁場は温度と熱を持つと思われます。では、「時空」は温度と熱を持つのでしょうか?
たとえば、容器の中に温度計を吊し、容器の中の空気を真空ポンプで引いて行った場合、温度計の温度はどうなるでしょうか。完全な真空が実現できたとして、そのときの温度計の温度が真空(つまり時空)の温度と思われるのですが・・・。



(40)  (Re:39)
Re:熱と温度に関して
TOSHI
2006年03月20日(月) 04時18分

 こんばんは。CarotStampさん、TOSHIです。

>昨年11月のスレッド「自由エネルギーの物理的意味を教えて下さい」では、大変失礼しました。

  こちらこそ、質問のレベルと数式の理解のギャップの大きさに疑問を感じたので、つい、きついコメントをしてしまって失礼しました。

>これまで物理数学の勉強をしていたのですが、それが終わって、昨日から熱・統計力学の勉強を始めました。
>
>そこで、基本的なこと(=温度と熱に関して)が分かっていないことに気がついたので、質問させて下さい。たいへん申しわけないですが4つあります。このまま勉強を続けていれば、その内に解ることかもしれませんが、とりあえず昨日考え出してアタマが混乱してしまった内容です。
>
>1.温度を変える原因が熱という理解をしています。
>この場合、熱はエネルギーの一形態と大変わかり易いのですが、温度も巨視的に見た何か(物理量)の一形態なのでしょうか?
>

  そもそも「経験温度」というのが導入されたのはもちろん熱いとか冷たいとかいう日常の経験からですが、「熱」という概念よりも前のことではないでしょうか、2つのものを接触させると長時間の後には結局、「熱平衡状態」というひとつの「平衡状態」になるという経験から、その「平衡状態」を決める「尺度」として与えられたものでしょうね。

 そして「熱力学第0法則」は、AとBが熱平衡ならA〜Bと書くと決めれば、A〜Aであり、A〜BならB〜Aであり、A〜B,B〜CならA〜Cである、という法則であり、だからA〜Bを確かめるには第三者のCをAと接触させて、かつBとも接触させて熱平衡にするというような「温度計」Cというものが便利だとわかりました。

 「経験温度」とはAがどのような「平衡状態」にあるかを決める「尺度」として導入されたもので、もしAとBが同じ「尺度=温度」なら「同一」の平衡状態にあるというものです。

 実際、同じ温度のものを接触させて長時間おいてもほかに熱が入ってきたり、逃げたりする原因がなければ、いつまでも温度は変わりませんね。

>2.温度の違う物体Aと物体Bを接触させた場合、熱の移動が起こります。
>この場合なぜ、両者の温度が等しくなった時に熱の移動は止まるのでしょうか?

  その通りですね。

>両者の持つ熱量(エネルギー)が等しくなった時に、熱の移動が止まるというのならわかるのですが・・・。
>

  A,B以外が断熱であり、摩擦などの仕事による熱もなければれば「熱量の保存法則」が成り立ちます。

 均質の物質であればその物質固有の「比熱」というものがあり、それはその物質からなる1グラムの物体の温度を1度上げるのに必要な熱のことで、水1グラムを14.5度から15.5度に上げるのに必要な熱を1カロリーと定義します。

 (エネルギー的な単位では1カロリー=約4.19ジュールです。)

 金属などではこの「比熱」は、1カロリーよりも大分小さいですから、ちょっとの熱で温度はぐんぐん上がりますが、水は比熱が1(カロリー/グラム)なので、あまり上がりません。

 そして実は1度上げるのに必要な熱は物質の質量に比例します。ある物質の物体全体を1度上げるのに必要な熱を「熱容量」といいます。100グラムの水なら熱容量は100カロリーです。

 そして先にも述べた、かきまぜられるなどの仕事もされず、電気やガスなどの加熱もなく、また断熱で逃げる熱もなければ、熱い温度の金属xグラムを冷たい水yグラムの中にいれると、長時間たっても両者の総和の熱(熱容量)は不変です=保存します、から、「金属から移動する(失われる)熱量」=「水がもらう熱量」となります。

 もちろん、熱の移動が終わるのは両者が「平衡状態=同じ温度」に到達したときです。こうした条件から量x、yと両者の比熱、最初の温度がわかれば、熱移動後の温度が決まることは経験としてわかっており、こういう問題は昔は小学校か中学校でならいました。

>3.微視的に見て、温度と何なのでしょうか?
>「巨視的な温度」と「微視的な分子・原子の運動」とに対応が見られます。
>温度上昇に伴い分子・原子の運動(=熱運動)は激しくなります。
>絶対零度では、零点振動(不確定性原理)を除いて、熱運動はなくなります。
>温度とはミクロにみて「分子・原子の運動の激しさ」=「分子・原子の運動量あるいは速度」と考えていいのですか?
>

 微視的には熱というのは原子や分子などの固体なら振動エネルギー+運動エネルギー、気体なら単なる運動エネルギーの総和です。

 そしてもちろん、温度が高いほど運動速度は上がるのでそれは激しさの1つの尺度です。たとえば気体の運動速度はボルツマン係数をk=R/N(気体定数/アボガドロ数)として(kT)の平方根に比例しますから、気体の場合、温度は1個の分子の運動エネルギーに比例しますね。

  実際、量子論でない古典論の統計力学では気体1分子の回転や振動を除く3次元の並進運動の運動エネルギー=(3/2)kTですね。そして並進運動のみが圧力に寄与するので理想気体の運動方程式が得られて、温度と圧力の関係もでてきます。

 並進だけ(ヘリウムなどの1原子気体)だと定積比熱は1モルあたり(3/2)Nk=(3/2)Rですが、酸素などの2原子分子では回転の自由度があるので1モルあたり(5/2)Rになります。

 固体だと、位置エネルギー(振動)と運動エネルギーの両方があるので比熱は1モルあたり3Rになります。(デュロン・プティの法則)ただし、量子論ではアインシュタインやデバイによる法則でこれからのずれも計算できます。

 統計力学としての温度は(1/T)=(∂S/∂E)です。Sはエントロピー、Eはエネルギーです。よく「ΔS=ΔQ/T」と書きますね。この式のΔQという熱はエネルギーΔEの1形態ですから、むしろ熱力学からのアナロジーで温度をこう定義したにすぎません。

 温度の経験温度でない本当の意味は、熱力学第2法則をもとにした熱機関の効率やエントロピーの意味などを勉強してから総体的にわかるので、とにかく先に進んでください。

 統計力学的にはエントロピーには確率的意味があります。熱力学は、統計力学からの帰結であると単純に考えることには私自身は疑問だと思っています。歴史的には統計力学で得られる巨視量が熱力学の何に対応するかを見るには、熱力学で得られた関係式を使用して決めていますしね。

>4.電場と磁場は温度と熱を持つと思われます。では、「時空」は温度と熱を持つのでしょうか?
>たとえば、容器の中に温度計を吊し、容器の中の空気を真空ポンプで引いて行った場合、温度計の温度はどうなるでしょうか。完全な真空が実現できたとして、そのときの温度計の温度が真空(つまり時空)の温度と思われるのですが・・・。
>

  真空になにも粒子がないと思われても、実は、質量0の光子=電磁波やニュートリノなどがあります。

 現在の宇宙空間の温度はベンジアスなどの背景輻射=あらゆる方向から来る未知の電磁波の発見から、「プランクの黒体輻射の法則」により2.7kと観測されています。

 製鉄などの様子を見ればわかるように鉄の色は温度によって、いろいろと変わっていきます。そういうわけで「光=電磁波(電場と磁場の波)」の波長(振動数)=色と「温度」の間にはになんらかの関係があることは、昔からわかっていました。

 そして宇宙空間にある背景輻射の波長から真空の宇宙空間の温度は何度であるかがわかります、そして、そうした背景電磁波の存在は、遠い過去には非常に高温な輻射エネルギーの満ちた真空という小さい火の玉宇宙の時代があり、いままで宇宙が膨張してきたということの証拠の1つとされています。

 宇宙空間は絶対零度ではなく、低温の背景輻射が存在するであろう、ということは、「原子核のアルファ崩壊の理論」でも有名なジョージ・ガモフが、その発見よりずっと前に予言していました。

                                TOSHI



(41)  (Re:40)
Re:熱と温度に関して
CarotStamp
2006年03月21日(火) 00時45分

TOSHIさん、CarotStampです。

ご回答ありがとう、ございました。温度に関して、すっきりしなかったのですが、だいぶ解ってきました。

以下、現在の温度についての理解を書いて起きます(間違っていたら、恐れ入りますがご指摘してください)。

温度:
1.物体内部の(熱的な)状態を表す量。
2.熱平衡にある2つの系が共通に持つ物理量。これを「経験温度」という。
3.分子論的には、分子・原子が行う熱運動の運動エネルギーの平均値の尺度である。

>>温度の経験温度でない本当の意味は、熱力学第2法則をもとにした熱機関の効率やエントロピーの意味などを勉強してから総体的にわかるので、とにかく先に進んでください。

了解しました。あまり悩まず、勉強を進めることにします。

21日から、3/26まで帰省して参ります。
ご指摘があった場合、スレッドへの書き込みご遅れますがお許し下さい。



(43)  (Re:41)
Re:熱と温度に関して
TOSHI
2006年03月21日(火) 02時42分

 こんばんは。。。TOSHIです。

>
>以下、現在の温度についての理解を書いて起きます(間違っていたら、恐れ入りますがご指摘してください)。
>
>温度:
>1.物体内部の(熱的な)状態を表す量。

 その通りですね。熱力学変数=状態量には示量変数V、E(U)、S (分子の数やモルの量に比例するもの)などと、示強変数=P(圧力)で代表される、量に無関係なもの、があってT(温度)は示強変数の1つであり、もちろん1つの状態量(状態を表す量)ですね。

 ところが、実は熱Qは状態量ではありません、状態量であるエネルギーは状態がきまれば決まって、ΔQは2つの状態のエネルギーの差として決まることもありますが仕事があると異なるし、ΔQは状態へ行く道筋が違えば違うので状態だけでは決まらず、しかしΔQを温度Tで割ると「準静的過程」を想定して状態量ΔS(Sはエントロピー)になります。

>2.熱平衡にある2つの系が共通に持つ物理量。これを「経験温度」という。

  そう、もともと便宜的に経験で導入した「経験温度」が実は絶対温度という単位で、本当の意味の「温度」と一致するということが後にわかったので、特に「経験」とする必要はなくなりましたが、仮にでも導入しておかないと話が進まないわけだったので、熱学の始まりとしてはそうです。

>3.分子論的には、分子・原子が行う熱運動の運動エネルギーの平均値の尺度である。

  そのとおり、すべての分子のエネルギーの総和を分子の個数で割った1個の分子の平均値は、だいたい温度に比例するということですね。

                                    TOSHI



(44)  (Re:43)
Re:熱と温度に関して
CarotStamp
2006年03月28日(火) 17時27分

TOSHIさんCarotStampです。

コメント、ありがとうございました。

これで、少し自信を持って、勉強を進めることができます。





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