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(507) 角運動量保存則
航空
2006年06月16日(金) 18時52分

はじめまして、航空と申すものです。
私も物理を学ぶものなのですが、角運動量保存則について悩んでいるうちに、頭が混乱してきたので投稿させていただいた次第です。

運動量保存則は、以下のような感じでいいのですよね?
--------------------------------------------
運動量を「質量×速度」で定義する。ある系の中に運動量の総和は一定である。経験則であるが、これに反する事例はまだない。
--------------------------------------------

これは分かりやすくていいのですが、問題は角運動量保存則です。
今まで私は「角運動量保存則」という名前から、運動量保存則のように「系の中の角運動量の総和が保存される」ものだと思っていました。
しかし調べているうちにどうもそうではなく、「ある質点に働く力の作用線が全て同じ点で交わるとき、その質点の角運動量は保存する」こんな感じに思えてきたのです。
角運動量というものは、全体としての総和は保たれるのでしょうか?



(510)  (Re:507)
Re:角運動量保存則
TOSHI
2006年06月17日(土) 00時01分

 こんばんは。航空さん、TOSHIと申します。

>
>運動量保存則は、以下のような感じでいいのですよね?
>--------------------------------------------
>運動量を「質量×速度」で定義する。ある系の中に運動量の総和は一定である。経験則であるが、これに反する事例はまだない。
>--------------------------------------------
>

  そうですね、科学の法則はすべて経験則ですが、経験から帰納した法則としては「系にかかる外力の総和が0である」ならば「ある系の中の運動量の総和は一定である。」ということになり、これはニュートンの運動の第二法則ですね。

>今まで私は「角運動量保存則」という名前から、運動量保存則のように「系の中の角運動量の総和が保存される」ものだと思っていました。

  えーと、それでいいですよ。「系全体に外部から働く力のモーメントの総和が0である」ならば、「系の中の角運動量の総和が保存される」ですね。これもニュートンの法則から導かれますね。

                                        TOSHI

                                  TOSHI



(520)  (Re:510)
Re:角運動量保存則
航空
2006年06月19日(月) 00時18分

TOSHIさん、ご回答頂きありがとうございます。

>  そうですね、科学の法則はすべて経験則ですが、経験から帰納した法則としては「系にかかる外力の総和が0である」ならば「ある系の中の運動量の総和は一定である。」ということになり、これはニュートンの運動の第二法則ですね。

科学法則は全て経験則なのでしょうか?確かに根本となる法則は全て経験則だと思いますが、例えば一般相対論などは純理論的に導かれたものではないのですか?
重ねての質問で申し訳ないのですが、運動量保存則がニュートンの第2法則と同じというのはどういう意味なのでしょう。F=m(d^2x/dt^2)は運動量保存の法則から導かれるのですか?


>  えーと、それでいいですよ。「系全体に外部から働く力のモーメントの総和が0である」ならば、「系の中の角運動量の総和が保存される」ですね。これもニュートンの法則から導かれますね。

角運動量は外力のない系の中で保存するのですか?角運動量の定義がL=r×pで、時間微分をとるとdL/dt=r×dp/dtですよね。当然中心力のみならdL/dt=0となってL=Const.となるわけですが、これはひとつの粒子(質点)のLの議論であって、系全体の角運動量が保存するかどうかはわからない気がします。全ての質点の角運動量が常に保存されるなら確かに系全体の角運動量も保存されるはずですが、例えば粒子同士の摩擦で角運動量が交換される場合、「ひとつひとつの角運動量が変わり、かつ、系全体の角運動量は保存される」という保証になっているのでしょうか?
 



(522)  (Re:520)
Re:角運動量保存則
TOSHI
2006年06月19日(月) 01時37分

 こんばんは、航空さん、TOSHIです。

>科学法則は全て経験則なのでしょうか?確かに根本となる法則は全て経験則だと思いますが、例えば一般相対論などは純理論的に導かれたものではないのですか?

  数学は純理論的というのがあります、他の自然科学はすべて「実証科学」なので宇宙以外の理論では「実験」という「経験」、宇宙理論では天体やX線などの「観測」という「経験」に合うように「仮説」を立てるわけです。

 頭でたとえば「一般相対論」なるものを考えても、もし「実験」や「観測」に合わないものであれば数学では良いとしても、物理学などでは「無意味」となります。

 もちろん、「一般相対論」もわれわれが地球上で「重力」を感じるという「経験」からニュートンが「万有引力の法則」を導き、その延長上にあって「天体観測」などで得られる「光の曲がる角度」や「水星の近日点の移動」などのデータを定量的に説明できたのでおそらく正しいだろう、ということになった1つの「仮説」に過ぎません。

 アリストテレスによる、座して瞑想してひねりだす、という「純粋思惟」からのみ、生み出される「形而上学」ではありません。

>重ねての質問で申し訳ないのですが、運動量保存則がニュートンの第2法則と同じというのはどういう意味なのでしょう。F=m(d^2x/dt^2)は運動量保存の法則から導かれるのですか?
>

  いえいえ、同じというのは言いすぎでした。外力F=0というのはm(d^2x/dt^2)=0ということですからv=dx/dtとして運動量mv=一定となる、つまり、保存するという意味です。多粒子の系では系全体にかかる外力Fのほかに内力fがあるので第三法則(作用・反作用の法則)も必要でしたね。

 むしろ、私が言いたかったのは運動量の増加分Δ(mv)は力積FΔtに等しい、という法則の延長上にF=0の場合があるということだったのです。そしてΔp=Δ(mv)=FΔtは両辺をΔtで割ってΔt→0とすると第二法則dp/dt=Fと同じだ、という意味です。

 もちろん多粒子の系ではΔP=Δ[■p]=■[Δ(mv)]=(F+■f)Δtです。第三法則により■の中の内力fには互いに同じ大きさで向き反対のものが対になってあるので■f=0なのでΔP=FΔtなので1個の質点と同じです。

>角運動量は外力のない系の中で保存するのですか?角運動量の定義がL=r×pで、時間微分をとるとdL/dt=r×dp/dtですよね。当然中心力のみならdL/dt=0となってL=Const.となるわけですが、これはひとつの粒子(質点)のLの議論であって、系全体の角運動量が保存するかどうかはわからない気がします。全ての質点の角運動量が常に保存されるなら確かに系全体の角運動量も保存されるはずですが、例えば粒子同士の摩擦で角運動量が交換される場合、「ひとつひとつの角運動量が変わり、かつ、系全体の角運動量は保存される」という保証になっているのでしょうか?

>

 失礼しました。第三法則(作用・反作用の法則)も必要でしたね。

 系の角運動量はL=■(r×p)ですが、dL/dt=■(r×dp/dt)==■{r×(F+■f)}=(■r)×F+■(r×f)でありFは外力でfは摩擦力も含めた内力です。第三法則により■の中の内力は互いに同じ大きさで向き反対のものが対になってあるので■(r×f)=0ですからdL/dt=(■r)×Fになる。

 つまり「系全体の全角運動量の時間変化率」も「外力だけのモーメント」に等しいので、外力がなければ互いに摩擦があろうがどうしようが関係なく全角運動量は保存します。

 このように内力として衝突などがあっても全運動量や全角運動量はニュートンの法則そのもの、なので保存しますが、その法則から求める、「全エネルギー」のほうは「保存力」ではない内力である摩擦などのような「散逸力」があると保存せず、「熱損失」となります。これは衝突だと非弾性衝突ですね。

                TOSHI



(523)  (Re:522)
Re:角運動量保存則
TOSHI
2006年06月19日(月) 01時42分

 PS:本文中で■という字が見えなくなっていますが、これは総和を表す、ギリシャ文字のシグマの大文字です。

                    TOSHI



(527)  (Re:522)

Re:角運動量保存則

航空
2006年06月19日(月) 21時59分

こんにちはTOSHIさん。ご返信ありがとうございます。

>  数学は純理論的というのがあります、他の自然科学はすべて「実証科学」なので宇宙以外の理論では「実験」という「経験」、宇宙理論では天体やX線などの「観測」という「経験」に合うように「仮説」を立てるわけです。
>
> 頭でたとえば「一般相対論」なるものを考えても、もし「実験」や「観測」に合わないものであれば数学では良いとしても、物理学などでは「無意味」となります。
>
> もちろん、「一般相対論」もわれわれが地球上で「重力」を感じるという「経験」からニュートンが「万有引力の法則」を導き、その延長上にあって「天体観測」などで得られる「光の曲がる角度」や「水星の近日点の移動」などのデータを定量的に説明できたのでおそらく正しいだろう、ということになった1つの「仮説」に過ぎません。

申し訳ありません、私の表現がよくありませんでした。
物理学には「こういう現象が見付かった。この現象に合うように、数学的に表そう。」とする場合と、「頭の中で理論を組み立てた。この理論から予測される現象が本当に起こるか確かめよう。」という場合の2つがあると思うのです。前者はニュートン力学など、後者は相対性理論などがあると思います。「経験則」と名前がついているので、それは特に前者のみを指していて、後者は他のいい方があるのでは?と思いました次第です。
しかしTOSHIさんのおっしゃられたことは間違いがないように思います。ですので、もし前者と後者を特に区別するような呼び方を御存じであればお教え頂けませんでしょうか。


>  いえいえ、同じというのは言いすぎでした。外力F=0というのはm(d^2x/dt^2)=0ということですからv=dx/dtとして運動量mv=一定となる、つまり、保存するという意味です。多粒子の系では系全体にかかる外力Fのほかに内力fがあるので第三法則(作用・反作用の法則)も必要でしたね。
>
> むしろ、私が言いたかったのは運動量の増加分Δ(mv)は力積FΔtに等しい、という法則の延長上にF=0の場合があるということだったのです。そしてΔp=Δ(mv)=FΔtは両辺をΔtで割ってΔt→0とすると第二法則dp/dt=Fと同じだ、という意味です。
>
> もちろん多粒子の系ではΔP=Δ[■p]=■[Δ(mv)]=(F+■f)Δtです。第三法則により■の中の内力fには互いに同じ大きさで向き反対のものが対になってあるので■f=0なのでΔP=FΔtなので1個の質点と同じです。

ひとつの質点に成り立つ運動量保存則が、多粒子系を考えてもやはり全体として成り立つ、ということですね。そこは理解することができました。ありがとうございます。

ところで、第3法則が成り立つのは、根底に運動量保存則があるからであるといつか聞いたことがあります。つまり運動量が保存するから、反対向きに同じ大きさの力がかかるのだと。内力のみを考えた場合、多粒子系の全運動量の増加分はTOSHIさんの式を使わせて頂くと、△P=Σf×△tですよね。運動量が保存するから(第3法則から)Σf=0とすると、dP/dt=0となってP=Const.となり、「運動量保存則を仮定して出てきた結果が運動量保存則」という妙な結果になる気がするのですが、何か考え方が間違っているでしょうか?矛盾しているわけではないですが、「x=1だからx=1だ」と言っているようでなんだかおかしい気がします。



> 系の角運動量はL=■(r×p)ですが、dL/dt=■(r×dp/dt)==■{r×(F+■f)}=(■r)×F+■(r×f)でありFは外力でfは摩擦力も含めた内力です。第三法則により■の中の内力は互いに同じ大きさで向き反対のものが対になってあるので■(r×f)=0ですから dL/dt=(■r)×Fになる。
>
> つまり「系全体の全角運動量の時間変化率」も「外力だけのモーメント」に等しいので、外力がなければ互いに摩擦があろうがどうしようが関係なく全角運動量は保存します。

主題である角運動量保存則については、理解することができました。本当にありがとうございます。



(531)  (Re:527)
Re: Re:角運動量保存則
TOSHI
2006年06月20日(火) 12時04分

 こんにちは。。。TOSHIです。

>しかしTOSHIさんのおっしゃられたことは間違いがないように思います。ですので、もし前者と後者を特に区別するような呼び方を御存じであればお教え頂けませんでしょうか。
>

 ええと、寡聞にして知りません。特殊相対論は前者で一般相対論は後者ですかね。純然たる後者はほとんどないでしょう。湯川の中間子論は後者かな?超弦理論も後者かな(検証不可能なので認知されていませんが)?ファインマン・朝永・シュヴィンガーのくりこみ理論などはどちらとも区別がつきません。

>
>ところで、第3法則が成り立つのは、根底に運動量保存則があるからであるといつか聞いたことがあります。つまり運動量が保存するから、反対向きに同じ大きさの力がかかるのだと。内力のみを考えた場合、多粒子系の全運動量の増加分はTOSHIさんの式を使わせて頂くと、△P=Σf×△tですよね。運動量が保存するから(第3法則から)Σf=0とすると、dP/dt=0となってP=Const.となり、「運動量保存則を仮定して出てきた結果が運動量保存則」という妙な結果になる気がするのですが、何か考え方が間違っているでしょうか?矛盾しているわけではないですが、「x=1だからx=1だ」と言っているようでなんだかおかしい気がします。
>

 そりゃあ、素粒子論まで微視的で基礎的なところまでいくと、エネルギーも運動量もいわゆるエネルギー運動量テンソルという一つのものですから、どんな状況でも必ず保存しますが、一般に、力学だけでは摩擦があれば「力学的」エネルギーは保存しませんし、運動量が保存するのは力積が0のときだけですが、第3法則は運動量が保存しないときでも成立するので、関係ないと思いますけど。。。。

 第3法則が重要なのは、第2法則だけでは力も質量も定義されてないので、無意味といえば無意味なのですが、第3法則があれば、ぶつけることで同じ力に対する加速度を測ることにより質量(質量比)が定義できるので、第2法則によって力が定義できる、ということくらいかな?

                    TOSHI



(533)  (Re:531)
Re: Re:角運動量保存則
航空
2006年06月20日(火) 17時26分

長々と質問してしまってすみません。TOSHIさんのおかげで疑問に思っていたことが解決しました。
本当にありがとうございます。

もしよろしければまたの機会も、よろしくお願いします。



(538)  (Re:527)
Re:角運動量保存則
航空
2006年06月21日(水) 23時28分

田部勝也さん、始めまして、航空と申します。
懇切丁寧なご説明ありがとうございます。

>私個人としては、物理学の議論をする上でより根本的で重要なのは、何を「数学的に証明する必要のない実験・観測事実に基づく動かしがたい経験則=前提」としたか、何が「その前提を元に演繹された結果」であるか、またもしあるならば、何が「前提から結果を導く上で導入した仮定・仮説」であるのか──という区別だと考えています。

確かに田部さんのおっしゃる通りなのかもしれません。私の中途半端な知識は、そもそも「物理的思考とは何か」ということを理解してなかったようです。
以前「運動方程式は経験的に導かれたものではなく、純理論的に導かれたものである。」という話をきいたことがあり、それを疑わず信じ込んだ結果、「こういう現象が見付かった。この現象に合うように、数学的に表そう。」「頭の中で理論を組み立てた。この理論から予測される現象が本当に起こるか確かめよう。」この2つがあるものだと思いこんでいました。今にして思えば、これを言った人物はチャットの相手でしかなかったので、信じ込む方がどうかしていたのかもしれません。
そういう事情があり、「運動方程式は経験則」ということを考えもしませんでした。いかに物理を理解してないかが露見してしまって恥ずかしい限りです。

大切なことは「何を揺るぎない前提としているか」「その結果はいかなるものか」「結果を導くために仮定した事柄は何か」の3点なのですね。
もちろん、田部さんのおっしゃることも、そのまま鵜呑みにするわけではないのでご安心下さい。
この度はご丁寧なご説明をありがとうございます。



(539)  (Re:527)
Re:角運動量保存則
航空
2006年06月22日(木) 00時21分

田部勝也さん、こんにちは。航空と申します。

>個人的には、やはり、ニュートン力学においては、「運動の第1〜3法則」が、実験・観測事実に基づく動かしがたい経験則(より正しくは「原理」と言うべきかも知れませんが個人的にはこのへんの哲学的な用語の厳密な使い分けにはあまり興味がありません)であり、その他のすべての法則は、この経験則(原理)から演繹的に導かれる──と考えるのが自然な気がします。

「運動の第1〜3法則」は「揺るぎない前提」とすると、必然的に運動量保存則が導かれる、というのは理解することが出来ました。
となるとはやり問題は「どうして運動の第1〜3法則が成り立つのか」という問題に帰着する気がするのですが、これは「実験・観測事実に基づく動かしがたい前提」であるから説明することはできない、ということなのでしょうか?作用に対して逆向きに全く同じ力・反作用がかかるのは、「実験事実だから」という理由しかないということですか?
経験的に慣性の法則は成り立ち、経験的に力は質量×加速度であり、経験的に作用に対して逆向きに全く同じ力・反作用がかかる…これはなぜかと問われれば、「そうなるから」なのでしょうか?
田部さんに反論する気ではないのです。ただ、考えの深みにはまってしまっているだけです。運動量保存則だけを「揺るぎない前提」とすると、運動量が保存するから慣性の法則は成り立つし、運動量が保存するから作用に対して逆向きに全く同じ力・反作用が発生する…。でもこれは田部さんがすでにおっしゃっていることですね。下は田部さんのお言葉です。
----------------------------------------------
運動の第2法則」と「運動量保存則」の2つが、実験・観測事実に基づく動かしがたい経験則であり、この2つの経験則を元に、運動の第3法則が導かれる──と考える事も可能でしょう。
----------------------------------------------
混乱して支離滅裂なことを言ってしまって申し訳ありません。いろいろなサイトを見ると、どれが真実なのか分からなくなってきてしまいます(色々なサイトで同じ質問をしているわけではありません、物理解説サイトを回っているだけです。お気を悪くされないで下さい。)。そもそも「真実」なんて誰にも分からないのかもしれませんが、「歴史上の考え方の経緯」はあるはずで…私はそれを調べたいのかもしれません。


>余談ですが、上の運動量保存則の導出がしっかりと理解できていれば──つまり、通常の高校→大学というカリキュラム内で力学を学ばれていれば、そもそも一番最初に出されたような角運動量に関する疑問が生じる事はないと思うのですけど……。航空様はどこでどのように物理を学ばれているのでしょうか。

どこ、とは申し上げられませんが、大学で物理を学んでおります。初学年ではないとだけ…。本当に恥ずかしいです限りです。
今までは数式だけを追うような、テストに通るだけのような学び方をしておりました。ゆえに物理的な背景などは全く知らなかったに等しいのです。最近になって、本当に物理を知りたいと思いたち、物理解説サイトを巡っていたら頭が混乱してきたという次第です。



(544)  (Re:539)
Re:角運動量保存則
航空
2006年06月23日(金) 01時05分

田部勝也さん、こんにちは。

>ふと思い立ったのですけど、もしかして、航空様は、物理学専攻ではなくて、一般教養として物理の講義を受講していて、その講義は、いくつかの基本法則や任意の仮定・仮説から数学的演繹によって新たな法則を導出するといった作業過程などは一切飛ばして、「この理論からこの法則が導かれます」といった成果だけを羅列・紹介するような内容のものなのでしょうか。

いえ……恥ずかしながら……私は物理学を専攻しております。高校ではほぼ満点に近い点数しかとったことがなかったので、大学でも似たような学び方をしてきました。その結果、成績Aを量産することはできましたが…。
講義では間違いなく、「数式」と「その物理的な意味」を学んでいるはずです。しかし私は数式ばかりに気を取られていたので「物理的な意味」との整合性がとれてないのです…。


>つまり、巷に溢れている「数式一切ナシで物理を分かりやすく解説!」みたいな触れ込みの啓蒙書のように、数学的証明抜きに、「外力のない系では運動量保存則が成り立ちます」「同様に、外力のない系では角運動量保存則が成り立ちます。角運動量とはこれこれこういうものです」「温度を持つものはその温度に対応した電磁波を出します。それはプランクの公式に従います」といったお話だけを聞かされるという形の講義を受けていらっしゃるのでしょうか。

講義ではちゃんとしたことをしていたはずですが、申し上げた通りテストに関連するところにしか興味がなかったので…。最近になってやっと物理的な意味付けが知りたいと思って、いわゆる「数式なしの啓蒙書」などをよんでみたのですが、学んだ数式と微妙に違う(ようにみえる)解釈が載っていたりなどで、混乱してきまして…。


>もしそうだとしたら、航空様がこれまでここで表明されてきたような疑問を持たれて悩まれるというのはもっともな話で、むしろ疑問を持つ事ができたという点では、航空様のセンスの良さを示すものだと思います(何の疑問もなく聞き流してしまう学生がほとんどでしょうから)。決してご自身を卑下なさらぬようにと思います。

というわけで、やはり物理的センスはあまりないような気がしてしまうのですが、あまりネガティブになりすぎても、ここまで丁寧に教えて下さった田部勝也さんやTOSHIさんに申し訳がないので、ちゃんと1年生の力学から学び直してみますね。
この度は本当にありがとうございます。
また機会があれば、よろしくお願いします。



(549)  (Re:544)
Re:勉強法について
航空
2006年06月25日(日) 00時50分

田部さん、こんにちは。

>ある程度強くなれば、自分で適当に好ましい取捨選択ができるようになるわけですし、「あぁ、なるほど」と目から鱗という事もあるのでしょうけど、鱗以前の実力しかない状態だと、せっかくの助言も活かせません。
>勉強も似たようなもので、あまり中途半端にあれやこれやの教科書・啓蒙書に手を出す事が必ずしも良い事とは言えない場合が多いと思います(ローマには「多読よりも精読すべきである」という格言がありますね)。

この経験は確かに私にもあります。パソコンなど、説明書や解説書などをよむだけではさっぱり分かりませんが、ある程度パソコンを触ってみて操作法を体に覚えさせ、そのあとで説明書などをよむと「そういうことか」と理解できたりしますものね。田部さんのおっしゃっていることとは少し違うのかもしれませんが。
しかしなんと言ったらいいのか、「納得するまで先に進めなくなる」のは私の悪い癖なのです。一度疑問に思うと、それしか考えられなくなります。上記のパソコンの例でいうなら、「パソコンには一才触らずに説明書をよんで、"分からない分からない"と悩む状態」になってしまうのです。ここまで分かっているのに同じことの繰り返しです。少しずつ治していかなければいけない問題です…。



>>講義では間違いなく、「数式」と「その物理的な意味」を学んでいるはずです。しかし私は数式ばかりに気を取られていたので「物理的な意味」との整合性がとれてないのです…。
>(中略)
>>講義ではちゃんとしたことをしていたはずですが、申し上げた通りテストに関連するところにしか興味がなかったので…。
>
>失礼ながら、これは本当ですか。
>と言うのは、大学物理で力学のカリキュラムを一般的な教科書で学ばれているのだとしたら、運動量保存則は、まず間違いなく私が#537で書いた通りの「数式」で教わるはずですし、角運動量保存則についてもきっちりと「数式」で証明するはずです。それらの「数式」が出来ていて、#507のような疑問が出てくるとは、私には到底考えられないのですけど……。

本当なのです。あまり自分の愚かさをひけらかすのはいやなのですが、丁寧にお答え下さる田部さんに少しでも報いたいので真実を書きます。田部さんにとってはおそらく信じられない、もしくは軽蔑に値する行為かもしれませんが、「テストのため"だけ"の勉強」というのは、テストが終わった瞬間に頭から消え去ります。テストに通るには「数式を丸暗記」すればいいだけで、物理的な意味は当然のことながら、数式すら今は憶えてません。
そういうわけで、おそらく今の私の物理的な知識は啓蒙書レベルであって、物理を教養で学んでいる学生と同程度の知識しかないでしょう…。


>きつい事を言うようで申し訳ないのですが、趣味で物理学の成果を垣間見たいというのではなく、真剣に物理を学ぶ学生なのでしたら、もっと「数式」をしっかりと見て、「数式」で考える習慣を身につけないと、将来、科学者・技術者としては厳しいのではないかと心配します(科学哲学者を目指しているのなら別ですけど……)。

ご忠告ありがとうございます。そのくらいのお言葉でないと、私はいつまでたっても楽観的に考えていたと思います。

具体的な問題の提示もありがとうございます。今の私には難しく見えますが、ちゃんと学べばそれほど難しくはないのでしょうね。問題は保存させていただきます。


>学生時代は、頭で思い悩むよりも、むしろ手を動かす事で伸びる時期です。応援してます。頑張って下さい。

ありがとうございます。私なりに、努力していきます。



(553)  (Re:549)
Re:勉強法について
IRON28
2006年06月25日(日) 19時44分

航空さん
 私は企業勤務の化学屋で「団塊の世代」の年になっているものです。会社の
仕事で物理学(特に電磁気関係)を勉強しなければならない立場にあるので、
あるいは"悩める航空さん”のご参考になるかと思い、出てきました。言わんと
したいことは田部さんが言われていることと同じです。

(1)運動の法則などの「本質」について。
 「数学的側面と本質とは切り離して考える」というのがそもそもニュー
トンの基本方針だったのです。しかし、そういう割り切った方針は当時は一般
的なものではなかったらしいです。彼の大著のタイトルに「数学的」という
言葉がついているのは「この本は自然の数学的側面だけ取り扱います。本質は
論じておりませんので念のため」という趣旨を明言する必要があったからと
いうことです。力学の基本法則にかぎらず「本質」というものはなかなか
分からないことはよくあることです。それにこだわることは大事なことでは
ありますが、それは研究者になってからテーマとしてやればよく、学生の
間はよくわかっている「数学的側面」の習得に努める方が賢明です。

(2)「習うより慣れろ」
>「納得するまで先に進めなくなる」のは私の悪い癖なのです。一度疑問に思
>うと、それしか考えられなくなります。
うーん、確かに悪い癖ですね(^^; 「式の意味が分からないと前に進めない」
というのと同じことでしょうが、こういう性格は研究者を長く続けるには決定
的に不利な性格であると申し上げます。「習うより慣れろ」(田部さんの
言う「手を動かす」こと)が実践できる”愚直的性格”ほうが研究者に向いて
いますよ。
  学生時代に専攻しなかった分野の勉強をしなければならないことは
「研究者」にはよく起こることです。そこで本見て勉強することになります
が、「意味が分からないと前に進めない」では異分野の習得は全くできませ
ん。異分野のことなんて分からないことだらけですから。意味が分からなくて
も数式をフォローしたり練習問題解いたりすることに専念するのが得策。な
あに、ご心配なく、そのうち分かってきますよ。「読書百篇意自ずから通ず」
と同じこと。
   私は今まで多くの研究者を見てきましたが、だいたい30台後半で事
実上研究者生命が終わってしまうように見えるメンバーが大変多い。40台
後半の人となるともはや学生時代に専攻しなかった分野の勉強など不可能に
なっているやに見受けられます。こうなる原因は人ぞれぞれでしょうが、
「習うより慣れろ」が実践できない(口で言うのみならず)という点はすべ
ての人に共通している、と私の目には映っています。

(3)勉強の仕方ですが、私が意図的やってきたことは「自分が最初の発見者
 発案者になる場面を想定してみること」です。つまり「これは一体どうやっ
 て思いついたのだろう」と想像してみること。たとえば力学の記述にはニュ
 ートンの運動方程式に立脚する方式の他にラグランジュアンに立脚する方式が
あります。つまり、”別解法”があります。このことを学生時代に知ったとき、
 私が思ったことは「ラグランジュという人が別解法を工夫しようと思った動
機は何だろうか」ということです。で、思案した挙句到達した結論は「ベクトル
よりスカラーからスタートした方が簡単に解けるから、そういう方法はできな
いものか?」というものです。
  つまり運動方程式を書き下す方法だと最初からベクトルとして扱わなけれ
ばなりませんが、ラグランジュ関数はエネルギー量(スカラー)なので正しく
書き下すのが極めて容易です。そして一旦書き下したらあとは各変数の偏微分
を取って連立微分方程式にしてしまえばよいので機械的に事が運びます。往々
にして複雑な式になりますが、正確に書き下してあるとの確信がもてるので複
雑でも安心感があります(これ重要!)特に分子の基準振動なんかこの方法で
ないとどうにもならないと思いますね。
 ここで注意しておきたいのですが、ラグランジュのアイデアを想像するから
といっても科学史に深入りする必要はないということです。もちろん伝記を調
べて「正しい史実」を知ることは無駄ではありませんが、あくまでもニュート
ンの流儀との根本的相違を理解することに注力すべきでありましょう。
 
教科書にはたいてい法則を説明するための図が載っています。このような図は
単によく見るだけでなく、自力で描くことができるだろうか、という観点でも
見ることをお勧めします。必要なパラメーターが過不足なく書き込まれた説明
図を自力で描けるかどうかは理解度を試すよい方法です。
 
練習問題ですが、これらには条件を規程するパラメーターが過不足なく与えら
ているのが普通です。「質量m、一辺の長さaの・・・強さIの電流を流し・・
・・」というのように。こういう場合は私は「研究途上、このような練習
問題と同じ状況に直面した場合、自分は果たして問題解決に必要なパラメータ
ーと変数を過不足なく思いつくことができるだろうか」と自問することがあり
ます。そして意外とむずかしいことに気が付くのが常です。
 与えられた試験問題を無難にこなすだけの勉強してきた者は、たぶん必要な
パラメーターと変数を自力で過不足なく思いつくことはきわめて困難であり
ましょう。それ以前に研究途上において自分が直面している問題の本質を的確
に把握できるかどうか怪しいです(^^;

(4)「最初の論文」を読むべし
 私がしばしば実践する勉強法の一つは「ある手法、概念、理論などが史上最
初に発表してある文献を入手して読む」ということです。上記のラグランジュ
のことと同じですが、最初に発案した人の論文にはその理論や手法などの基本
的着想が明確に書かれていることが少なくありません(分かりよいとは限り
ませんが)。そういう着想は教科書には載っていないことが多いので理解を深
める意味で有益であるばかりか、パイオニア的業績を成し遂げた人のアイデア
を盗む意味合いからもお勧めです。



(551)  (Re:539)
Re:角運動量保存則
BASiCK
2006年06月25日(日) 16時35分

田部勝也さん、こんにちわ

 少し細かいことなのですが御教示いただけますか?

 第一法則とはいわゆる慣性の法則で、第二法則とは運動方程式F=mαのことでしたね。
 第一法則は第二法則でF=0の特別な場合になるのではないでしょうか? つまり実際には第二法則と第三法則の2つで十分ということにはならないのでしょうか?



(554)  (Re:551)
Re:ニュートンが提示した力学の3法則について
BASiCK
2006年06月29日(木) 05時17分

田部勝也さん、こんにちわ

 誤解のないように申し添えますが、私の問いは科学哲学の話ではありません。単純に数式上の話として、第一法則は第二法則の特別な場合ではないかというだけです。と私は思っていますが、まあ科学哲学の範囲の解釈によっては入ってしまうのかも知れません。

>ニュートン力学を最小の基本法則で築くために、どの基本法則を選べば良いのか、いくつの基本法則が必要なのかといった議論は、単に純粋に思弁的な議論であり、

 これは科学哲学というよりも、理論の組み立てで最小限の公理として何を選べるかという極めて実際的な問題に見えます。そして数学でも良く知られているように、公理の組み合わせは一般には何種類かが可能です。最小限の公理だけ使うというのは実用的ではないかも知れません。実用的には公理ではなくて使いやすい定理をきちんと使える方が有効でしょうから。でもニュートンとて最小の公理に絞りたくて3つに絞ったのではないでしょうか。

 「運動の第1法則は慣性系の定義のために必要である」というのはわかります。それと恥ずかしながら、「慣性力は運動の第3法則を満たさない」という点については今のいままで思い至りませんでした。確かにこれは「実際の力」と「慣性力」との大きな違いですね。「実際の力」とは「物体同士が及ぼし合う力」ということになるのでしょうか。

 実際に問題を解く上では運動方程式を使うことになりますから、「第一法則から」という風に使うことはないように思えるのですがどうなのでしょうか? そして慣性系の定義にしても、「外力が働かない系」と定義しても構わないように思えます。要するに運動方程式を知っていれば、あえて第1法則を持ち出す場面がないのではあるまいか?、ということなのです。

 また実際に問題を解く上では必ずしも全ての力の反作用を考慮に入れなくても良いですよね。例えば#537での外力Fiについては反作用を考慮に入れる必要がありませんよね。もちろんFiが万有引力や静電気力であれば、その源の質量や電荷に反作用が働いているので、Fiの源を無視するのは近似に過ぎないとも言えるのですが。


 最後の節は論点がずれたかも知れません。御容赦のほどを。



(556)  (Re:554)
Re:ニュートンが提示した力学の3法則について
TOSHI
2006年06月29日(木) 07時09分

 こんにちは。。。TOSHIです。

> 「運動の第1法則は慣性系の定義のために必要である」というのはわかります。それと恥ずかしながら、「慣性力は運動の第3法則を満たさない」という点については今のいままで思い至りませんでした。確かにこれは「実際の力」と「慣性力」との大きな違いですね。「実際の力」とは「物体同士が及ぼし合う力」ということになるのでしょうか。

  ちょっと、聞き捨てなりませんね。第1法則については現在の見解では田部さんのおっしゃる内容が主流で問題ないですが、慣性力も力ですから内力なら第3法則を満たします。

 一般相対性理論の座標系の相対性を無視してはいけません。「慣性力」も単なるみかけの力ではなくて「重力」であるという「等価原理」のことです。当然、第3法則は満足します。走っている車を静止系にとると、体をシートに押し付ける重力=慣性力に対してシートから反作用の力を受けるし、電車がカーブしてつり革にしがみついた人が遠心力で傾いて人によりかかると反作用があります。

                                    TOSHI



(557)  (Re:556)
Re:ニュートンが提示した力学の3法則について
TOSHI
2006年06月29日(木) 07時22分

PS:第3法則が成り立つかどうかで、自分が静止しているか加速運動をしているかが区別できる、と言えるなら、いままでの加速系に対して一般相対論ができたという経緯は、まったく無駄な努力だったということになりませんか?

 地球上で自分が静止していると思っていても地球は自転、公転しています。地球上の自分自身が加速度系なんです、その上での力は、すべて慣性力との合力です。第3法則が成り立つものとそうでないものを意識して区別しながら地球上の物理をやるつもりですか?

 一見、第3法則が成り立たないように見える電磁気のローレンツ力でさえ、実は、力のかかる対象が何かをよく考えると第3法則は成り立っています。

                                    TOSHI
                                 



(563)  (Re:557)
Re:ニュートンが提示した力学の3法則について
TOSHI
2006年06月30日(金) 11時53分

 こんにちは田部勝也さん、TOSHIです。

>
>「等価原理」を論拠とする反論は必ず出てくるだろうと思って、タイトルに「ニュートンが提示した〜」と明示させていただきました。
>この点については、おそらくBASiCK様をはじめ、ROMの人たちの中にも興味をもつ方々は多くいらっしゃるでしょうから、差し支えなければ、TOSHI様から(また他に詳しい方がいらっしゃいましたら)ご説明いただけると幸いです。一般相対論を学んだ事のない私がするには相応しくありませんので……。
>

  いや、「リンドラー時空」での「慣性力」=−mαや、回転系での「遠心力」や「コリオリ力」の反作用が何であるか?に関する話を含む「マッハ原理」についてはまだ未解決であり、「マッハ原理はゲーデル宇宙では成立しない」ことを知識として知っている程度で、1冊の本くらいの内容がありますから私には説明できません。

 ただ、加速運動中のある物体Aが静止しているとするような系で、その物体にかかる「慣性力」も一般相対論では単なる「重力」であり「みかけの力」と「本当の力」は(曲率=0かどうか、という話を別にしては)区別できないという立場が相対論のもとになる「等価原理」なので、それを認める立場に立つ限りは、もともと静止していた宇宙の全ての物体が、物体Aの反対向きの加速運動をしますから、その加速運動をする全ての物体の総体がAに重力を及ぼしていると見るのが当然だと思うので、宇宙全体にとっては微々たるものでしょうが、物体Aから逆向きの「反作用」としての力が宇宙全体にかかる、と考えていいと思ったまでです。

 加速運動をする全ての物体の総体が物体Aに重力を及ぼしているというその重力の大きさについての定量的計算については、どうなるのかをちょっと考えてみます。

  フーコーの振り子というものがあっても、それは地球が「慣性系」に関して回転している、という証明だけですね。つまり光がまっすぐ進めないような系は「慣性系」ではない、ということだけで、「特殊相対論」のようになんでも「相対的だ」というわけにはいきません。

 「慣性系」と「非慣性系」だけは「何も物体(エネルギー)がないところ」での重力や潮汐力のあるなしで「絶対的に」区別できるようです。光がまっすぐ進むか曲がるかで区別できます。

 しかし、ガリレイ相対論では力学的方法、特殊相対論では電気力学的方法、一般相対論では重力を用いる方法、をもってしても依然として、2体のどちらかが絶対静止、他方が運動している、ということを判定することが不可能という本質だけはあります。

 つまり、どの座標系が特別に優れているということは加速度系をもってしても決まりません。銀河系の運動、太陽系の運動、地球の公転、自転、その地上を走る車、それが実はどのような座標系に対して運動していても、それらの座標系は対等という意味で相対的です。

 ただ、ニュートン力学でも極座標系をとるなどという座標系の取り方もあり、対等とは言えない取り方もありますから、時空多様体ではどうなるのかわかりませんね。

 もっとも、自転している地球が実は静止しているなどという座標系をとると、宇宙の回転角速度はどの半径でも同じなので、遠方では回転の速さが光速に達するということになり、そこ=「光速回転の面」ではローレンツ収縮により回転方向の円周の長さが0になり、そこが事象の地平面としてそれ以上は多様体として連続延長できないということも起きるので結構むずかしい問題ですね。

>ところで、
>>一見、第3法則が成り立たないように見える電磁気のローレンツ力でさえ、
>との事ですが、私にはむしろ、一見、電磁気のローレンツ力も第3法則は陽に成り立っている──としか思えないのですけど、何か私が見落としているような(つまり一見ローレンツ力が第3法則を満たしていないと思えるような)現象や見方があるのでしょうか。

 そうですね、電荷に働く力と考えれば問題ないのですが、環状定常電流 I1 と I2 という2つのコイルの間のアンペールの力を電流素片 I1*dr1 が dr2 に磁場を作り、これが電流素片 I2*dr2 に及ぼす力と、その逆に働く力とを考えると、これらは「作用−反作用の法則」を満たしません。

 しかし、「電流素片」というものは実在しない、「電流とは動く電荷である」という本質から回路全体で積分した場合の全体の力と考える立場では、「作用ー反作用の法則」は成立する、という例があるくらいですかね。

                                  TOSHI



(559)  (Re:556)
Re:ニュートンが提示した力学の3法則について
TOSHI
2006年06月29日(木) 13時57分

PS2:人工衛星に対する地球の引力の反作用は地球に対する引力で、人工衛星が止まっている座標系で感じる遠心力は、「内力」ではなく加速度系が感じる「非永久重力」という「外力」だから、それ自身では反作用はないですよ。

「作用−反作用(第3法則)」というのは2体の関係ですから、人工衛星単独では1体問題なので、無関係です。遠心力が何かに作用しているかというと地球には作用していませんから反作用はないです。

 いずれにしろ、遠心力も力ですから第3法則を満足します。

                                   TOSHI



(560)  (Re:559)
Re:ニュートンが提示した力学の3法則について
TOSHI
2006年06月29日(木) 14時13分

 PS3:人工衛星は何かによって「遠心力」という「重力」を受けている。「重力」というからにはそれをもたらす源があるはずで、もしそれが力を及ぼしているなら、反作用はその源にかかっているはずですね。

 人工衛星が止まっているとする系からみると、地球だけでなく、宇宙全体が回転している。「ニュートンのバケツ」と同じで素朴な「マッハ原理」(「もし宇宙に星がなかったら回転するバケツの中の水は中心がへこむことはないだろう。」)が成立するとは思えないが、レンズとティリングの試算によると、宇宙の星すべてが回転すると回転していない人工衛星はそれによって「重力」を受けることがわかっている、それが「遠心力」だとすると、その反作用は宇宙の星あるいは宇宙全体に及ぼしているはずだ、ということになります。

                                        TOSHI



(564)  (Re:554)
Re:ニュートンが提示した力学の3法則について
BASiCK
2006年06月30日(金) 20時26分

田部勝也さん、こんばんわ

>物理を学ぶ、もしくは使う者としては、信頼性の十分保証された公理(物理の場合は「原理」「基本法則」でしょうか)から使いやすい定理を導き、その定理を使いこなせる事ができるのならば、最小限の公理にこだわる必要性・有用性が、私には見出せないという事です。ですので、「純粋に思弁的な問題」と書かせていただきました。

 了解です。ただ「純粋に思弁的な」というと何か実際問題には役立たないというニュアンスが感じられて、どうかなとだけは思います。ユークリッドの公準をもっと少なくできないかという努力が近代数学で豊かな実りをもたらしたことも事実ですから。まあ単なる感じ方ですからお気になさらないでください。

>物理を学ぶ途上の学生相手ならば、最小限の公理にこだわる事は、むしろ学習の妨げにさえなるかも知れません(高校で波の運動を学ぶときに、誰も媒質の各点の運動方程式を立てる事で考察したりはしなかったでしょう)。

 私も同じ考えです。了解です。

>BASiCK様が何について何をもって「近似に過ぎない」と考えたのか、その思考過程が私にはまったく想像できません

 これは私の間違いでした。考えている系の運動は{Σi(Fi)}+[Σi{Σj(fji)}]で正確に記述できますから近似ではありませんね。外力の源との運動量交換が問題になる場合と混同していました。



(545)  (Re:507)
角運動量の2問
YMN
2006年06月23日(金) 21時33分

 本来別の物理量である角運動量に運動量という言葉が入っていて、運動量の属性を角運動量に類推したくなる誤解の傾向があるように思います。
あるいは角運動量という名称は必ずしもベストセレクションではないのかもしれません。
以下に勘違いの壷的なものを問題として挙げてみました。

問題1
 宇宙遊泳している人がAの状態でピタリ静止しているとする。
体を動かして内力だけでBのように体全体の角度を変えて静止した状態に移行させることができるか。

|A


○B


問題2
 外力が作用しないと角運動量は保存されるが、一定の角運動量を持っている状態で内力のみで回転の運動エネルギが変化することがありうるか(例えばスケータが手足をすぼめてスピンをするような場合)。



問題1 できる(ハッブル宇宙天文台はこれを利用している)。
問題2 ありうる(遠心力に逆らって手足をすぼめれば仕事をしたことになる)。

http://homepage2.nifty.com/eman/dynamics/angular.html
 英語では何というのかということで検索して出てきたのが上のページです。
角運動量は「moment of momentum」となっていて少々妙な雰囲気があります。

YMN



(546)  (Re:545)
Re:角運動量の2問
航空
2006年06月23日(金) 22時42分

YMNさん、こんにちは。

>http://homepage2.nifty.com/eman/dynamics/angular.html
> 英語では何というのかということで検索して出てきたのが上のページです。
>角運動量は「moment of momentum」となっていて少々妙な雰囲気があります。

上記のEMANさんのページは、実は私の好きなサイトで、毎回熟読させて頂いております。
EMANさんはおそらく非常に物理を分かっていらっしゃるお方で、運動量についての新たな物理的解釈をなさっていたりもします。このサイトの解釈を、私は間違って受け止めてしまったようで、今回のような角運動量に関する疑問が出てきてしまいました。私のような中途半端な知識でよむのは早かったのかもしれません。

英語で角運動量は「angular momentum」だったような気がします。EMANさんは、「角運動量を"運動量のモーメント"と表現すると、moment of momentumになってしまってややこしいから"角運動量"と名付けた」とおっしゃっているものかと思います。

YMNさん、角運動量に関する分かりやすい2つの問題をありがとうございます。



(547)  (Re:546)
Re:角運動量の2問
YMN
2006年06月23日(金) 23時40分

>>角運動量は「moment of momentum」となっていて少々妙な雰囲気があります。

>英語で角運動量は「angular momentum」だったような気がします。

 出来過ぎて面白すぎる話は要注意ということで、私の勘違いでした(^^;。

YMN





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