(127)
ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
甘泉法師
2005年05月07日(土) 10時24分
みなさん こんにちは。電磁気の基本的なところについて質問します。
マクスウェル方程式は、ローレンツ条件とダランベール方程式の4ポテンシャルの式に書き換えることができますが
ローレンツ条件が無ければ(たとえばランダウゲージやクーロンゲージなどの他のゲージをつかうと)、4ポテンシャルはダランベール方程式を満たさないので光速で伝わる波にならないのでしょうか。
(128)
(Re:127)
Re:ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
TOSHI
2005年05月07日(土) 22時45分
こんいちは。。。。。
>みなさん こんにちは。電磁気の基本的なところについて質問します。
>マクスウェル方程式は、ローレンツ条件とダランベール方程式の4ポテンシャルの式に書き換えることができますが
>ローレンツ条件が無ければ(たとえばランダウゲージやクーロンゲージなどの他のゲージをつかうと)、4ポテンシャルはダランベール方程式を満たさないので光速で伝わる波にならないのでしょうか。
>
確かに、4ポテンシャルは任意のゲージではダランベール方程式を満足しませんが、それから導かれるいわゆる物理的観測可能量である、電場と磁場は任意のゲージでダランベールの方程式を満足し、しかもdiv(発散)も0で横波条件も満足しているので古典論ではそれで十分だと思っているのですがいかがでしょうか?
量子論なら、「アハラノフ−ボーム」効果などもあり、4ポテンシャルも観測可能量であるかもしれませんが、一応、「任意のゲージ」を仮定しても、「物理的状態」であるためのの補助条件(subsidary condition)を設ける共変量子化では「物理的状態」ではさんだ期待値の意味ではローレンツ条件とダランベール方程式は共に0になるので現実には問題なしと認識しております。
TOSHI
(129)
(Re:128)
Re:ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
悟空
2005年05月08日(日) 09時59分
実用上は問題ないにしても,ローレンツ条件は,4次元電流の保存則(電荷の保存則)と関係していますから,それ以外の条件では「理論的に閉じた系」にはなりませんでしょう.
(131)
(Re:129)
Re2: ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
甘泉法師
2005年05月08日(日) 15時03分
悟空さん、こんにちは。
>ローレンツ条件は,4次元電流の保存則(電荷の保存則)と関係していますから,
ともに ∂Yν/∂xν=0 という形というだけで、他のゲージでも4元電流の保存則は成り立ちますし、片方から他方が導けるとかの関係にはないと思います。
(132)
(Re:131)
Re: ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
悟空
2005年05月08日(日) 15時59分
□Aμ=Jμ:ダランベールの方程式
∂μAμ=0:Lorentz条件
(134)
(Re:132)
Re:ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
悟空
2005年05月08日(日) 16時49分
補足:□φ=0,であるような解をローレンツ条件につけ加えて,∂μAμ=φ,とすることは許される(相対論的要請を崩さない).
(130)
(Re:128)
Re2: ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
甘泉法師
2005年05月08日(日) 14時53分
TOSHIさん、こんにちは。
→
クーロンゲージ ∇・A=0 であれば、 -▽φ = 1/ε0 ρ,
→ →
-□A = μ0 j - 1/c^2 ∇∂t φ
上式から電荷密度のソースの影響が、瞬時に(c→∞ で □→▽なので)φに伝わることがわかります。
下式から電流密度のほかに 空間のすべてのところに、右辺第2項の(φの時間かつ空間部分の)ソースがあり、これらのソースの影響がAに光速度で伝わることがわかります。
>古典論ではそれで十分だと思っているのですがいかがでしょうか?
1 伝播の速度が∞になることは相対論で許容されるのでしょうか。
2 ゲージ条件についてはローレンツゲージ ∂Aν /∂xν =0 のように、ローレンツ変換に対して不変な式(共変)でなければならないという要請はいらないのでしょうか。
3 クーロンゲージは共変ではありません。 ファインマンゲージやランダウゲージは共変なのでしょうか。
(133)
(Re:130)
Re: ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
TOSHI
2005年05月08日(日) 16時09分
甘泉法師さん、こんにちは。。。TOSHIです。
> →
>クーロンゲージ ∇・A=0 であれば、 -▽φ = 1/ε0 ρ,
> → →
> -□A = μ0 j - 1/c^2 ∇∂t φ
>
>上式から電荷密度のソースの影響が、瞬時に(c→∞ で □→▽なので)φに伝わることがわかります。
>下式から電流密度のほかに 空間のすべてのところに、右辺第2項の(φの時間かつ空間部分の)ソースがあり、これらのソースの影響がAに光速度で伝わることがわかります。
>
>1 伝播の速度が∞になることは相対論で許容されるのでしょうか。
>
>2 ゲージ条件についてはローレンツゲージ ∂Aν /∂xν =0 のように、ローレンツ変換に対して不変な式(共変)でなければならないという要請はいらないのでしょうか。
>
>3 クーロンゲージは共変ではありません。 ファインマンゲージやランダウゲージは共変なのでしょうか。
>
とても鋭いご指摘です。私もこれでよく悩みました。。
クーロンゲージ(radiationゲージ)は共変ゲージではありません。スカラーポテンシャル(そもそもスカラーポテンシャルという概念自体が局所性(Lorentz共変性、あるいは因果律)を破る概念ですが)は静電場のクーロンの法則と同じですが、微妙に違うのはその被積分関数の分子の電荷密度は空間だけでなく時間にも依存することであって、特殊な、しかし非局所場の形をしています。
これは量子化しても「微視的因果律」を破ります、つまり「空間的」に離れた2点の場が「可換」でなければならないという条件を破るという意味です。
しかし、そもそも粒子場そのものは必ずしも「観測可能量」ではありません。たとえばDirac場のスピノールもこうした意味では「可換ではない」わけで「反可換」であるだけです。
しかし電場、磁場である2階テンソルFは「空間的な」2時空点で「可換」だし、Diracスピノールとガンマ行列でつくられる電流などは「可換」であり「局所性=微視的因果律」を満足するわけです。
補助場B(スカラーです)とゲージパラメータαを用いた、任意ゲージの自由場の運動方程式とゲージ条件は次のようになります。
□A−∂∂A−∂B=0 ∂A+αB=0ですね。
これらから□B=0で補助場も質量0のスカラー場であることがわかります。また□A−(1−α)∂B=0が導かれます。一般ゲージでは□∂A=0、□^2A=0ですね。
α=1がFeynmanゲージ、α=0がLandauゲージであり、それぞれ□A=0と∂A=0が満たされる特別なゲージです。
いずれにしても物理的状態|phys>の満足すべき条件は補助場Bに対して期待値<phys|B|phys>=0なので、期待値の意味では電流密度、電荷密度のない自由場の場合は<phyS|□A|phys>=0<phys|∂A|phys>=0ですし、もちろん、自由場(漸近場)でなくても右辺は電流密度、電荷密度の期待値になります。
一般に、4ポテンシャルはスピノール同様、観測される量ではないので、局所性を破る(c=∞)ことがあっても問題ないと思います。観測可能なF=∂A−∂Aが非局所的であってはまずいですけれど、それはそうではないですからね。
TOSHI
(135)
(Re:133)
Re2: ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
甘泉法師
2005年05月08日(日) 22時32分
TOSHIさん、こんにちは。
ゲージ方程式 g_μν ▽ν(▽μAδ−▽δAμ)= −jδ 添え字は上つき、ただし_のあとは下付き。
>α=1がFeynmanゲージ、α=0がLandauゲージであり、それぞれ□A=0と∂A=0が満たされる特別なゲージです。
Feynmanゲージについて理解の確認と質問です。
□A=0 を代入して▽δ(g_μν▽νAμ)= jδ。 共変形。 ソースの電流4ベクトルは電磁ポテンシャル4ベクトルAの4元湧き出し(( )内のこと)に反映される。 たとえば,
+電荷があるところではAの4元湧き出しが時間とともに増える。
+電流があるとことではAの4元湧き出しは電流の向かう方向のとなりが大きい。
さて、すべての時空点でAの湧き出しがあることと自由空間の光速の波をあらわす□A=0は両立できるのでしょうか。波が形を保って光速で伝わっていこうとしても行った先で湧き出しがあり振幅や形は異なってしまいます。
また、4元湧き出しによる4ベクトルの各成分の変化が一意的にきまるのかどうかわかりません。湧き出たものが留まりそこの密度(φ)が濃くなるのか、外への流出(3次元Aベクトル)が大きくなるのかの決まり方です。
(136)
(Re:135)
Re: ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
TOSHI
2005年05月09日(月) 05時08分
こんばんは。。。。
>
>さて、すべての時空点でAの湧き出しがあることと自由空間の光速の波をあらわす□A=0は両立できるのでしょうか。波が形を保って光速で伝わっていこうとしても行った先で湧き出しがあり振幅や形は異なってしまいます。
>
>また、4元湧き出しによる4ベクトルの各成分の変化が一意的にきまるのかどうかわかりません。湧き出たものが留まりそこの密度(φ)が濃くなるのか、外への流出(3次元Aベクトル)が大きくなるのかの決まり方です。
>
質問の意味をいまいち私自身が理解できないのですが。。。
要するに、空間全体が電荷や電流で満ち満ちていればマクスウェル方程式の解はどうなるのかという話だろうと思いますが、おそらくそういう状態では空間はいたるところ帯電しているという中性でない状態だと思うので一種のプラズマ状態でしょうから、地球近傍では電離層でしょうか?
おそらく電気的に中性である光子=電磁波という形態では電場、磁場は存在できないのではないでしょうか。。。実際にも電離層をラジオ波は通過できません。そもそも湧き出しがあれば□Aは0ではないのですから。。。。。
解の存在と一意性についてはおそらく、方程式が非線形ではない(線形非斉次です)ので、初期条件、境界条件が適切に与えられていれば成立すると思います。
TOSHI
(138)
(Re:136)
Re: ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
TOSHI
2005年05月09日(月) 09時22分
PS:何か誤解があるようですが、Feynmanゲージで□A=0となるのは、あくまで自由場(電荷、電流密度のない空間)での話であって、自由場でなければ□Aの右辺が0でないのは当然です。
しかし、全空間で□A=0ならば、実は2次元複素平面で全平面で正則な関数と同様、解は定数しかありませんから無意味であり、電磁波としての意味があるためにはt=−∞で電荷、電流密度のソースがあり、現在の自由空間での値という漸近場(in-field、out-field)という意味での□A=0の解ということです。
そもそも、Feynmanゲージ、Landauゲージというのは量子論でしかありえないゲージで古典論では共変ゲージというのはLorentzゲージで十分です。
蛇足ですが、Coulombゲージというのは共変ではないので、座標変換するとゲージ条件が保たれないので、座標系ごとに場のローレンツ変換に加えてさらにゲージ変換項が加わります。
量子論では共変なLorentzゲージでは共変交換関係などに矛盾を生じるという理由で単純に共変ゲージがとれないのでそうした量子論的なゲージがとられるわけです。
電磁場の量子論での主要な困難としては質量が0であるために、計量がミンコフスキー計量という正定値でない、負になりうる不定計量であるために、例えば第0成分の場の生成演算子によって真空から生成された状態のノルム(確率)が負になってしまうということがあります。
TOSHI
(146)
(Re:138)
Re2: ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
甘泉法師
2005年05月14日(土) 08時45分
TOSHIさん、こんにちは。ご教示ありがとうございます。
電磁場のラグランジアンは Lem=-1/4 FμνF_μν + B∂_νAν + 1/2 αB^2
または
>□A−∂∂A−∂B=0 ∂A+αB=0ですね。
右式から Lem=-1/4 FμνF_μν - 1/(2α)(∂_νAν)^2
- 1/(2α)は ∂_νAν=0 の拘束条件でのラグランジュ未定乗数のように解されます。
また、左式から、4電流がある場合に広げて □A−(1 - 1/α)∂∂A=-jAで
∂A=0ならダランベール方程式になります。
このようにみるとランダウゲージもクーロンゲージも ローレンツゲージ∂_νAν=0の一種のようにみえますが、それで正しいでしょうか。ただし、ローレンツ条件を満たすのにオペレーター∂_νAνは0でなく、∂_νAν|phys>=0 であるよう状態空間を限るという"トリック"はあります。
(147)
(Re:146)
Re: ローレンツ条件が無ければ、4ポテンシャルは光速で伝わる波にならないのか。
TOSHI
2005年05月15日(日) 04時02分
こんにちは。。
>
>電磁場のラグランジアンは Lem=-1/4 FμνF_μν + B∂_νAν + 1/2 αB^2
>または
>>□A−∂∂A−∂B=0 ∂A+αB=0ですね。
>右式から Lem=-1/4 FμνF_μν - 1/(2α)(∂_νAν)^2
>- 1/(2α)は ∂_νAν=0 の拘束条件でのラグランジュ未定乗数のように解されます。
>また、左式から、4電流がある場合に広げて □A−(1 - 1/α)∂∂A=-jAで
>∂A=0ならダランベール方程式になります。
>このようにみるとランダウゲージもクーロンゲージも ローレンツゲージ∂_νAν=0の一種のようにみえますが、それで正しいでしょうか。ただし、ローレンツ条件を満たすのにオペレーター∂_νAνは0でなく、∂_νAν|phys>=0 であるよう状態空間を限るという"トリック"はあります。
>
>
おお、まったくそのとおりです。
もっとも、私の読んだ本に、そう書かれており、それを読んで納得しただけなんですけどね。。。。。
TOSHI
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